筑前黒田武士の江戸日記

~奇数月の第1土曜日に更新~

vol.53 武士飯

 NHKBSプレミアム幕末グルメ ブシメシ!」。単身赴任の江戸勤番藩士にスポットを当てたところが、時代劇としては何か新鮮で毎週見ていたが、先日、原作漫画(『勤番グルメ ブシメシ!』)も買って読んでみた。勤番侍の日常や食生活が知れて興味深いストーリーだが、絵も精巧に描かれていて、視覚的に当時のイメージを掴むことができる歴史漫画ならではの良さを感じる。

 この原作漫画に「黒田藩の中屋敷」とされるシーンが出てきた。「さて黒田様の天神を詣でるか」と主人公の紀州藩酒井伴四郎。更に原作である本人の日記『酒井伴四郎日記』江戸東京博物館編)を読んでみると、たしかに「黒田之天神え行」とある。少し前に訪れた日比谷図書文化館の企画展「発掘された大名屋敷」の資料に、大名屋敷で「邸内社」と言われる神社を一般に開放していたことが紹介されていたのを思い出したが、わが藩も開かれた江戸屋敷ということだったのだろうか。

 日記によれば、この日の酒井伴四郎、どじょう・豚鍋で酒を2合呑み、さらに鰻屋にハシゴして鰻2鉢に酒2合。酔っぱらって勤番長屋に帰宅し、同居の叔父に「大に叱られ」たのだとか。さすがは「ブシメシ」の主人公。勤番侍の日記と言えば、臼杵藩士の日記を紹介した『勤番武士の心と暮らし』を読み終えたところだが、こちらは絵日記になっていて、私生活がリアルに伝わり面白かった。最近は「江戸勤番」がマイブーム。黒田武士の勤番日記などあれば、読んでみたいところだが。

 

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よみうりランド(東京都稲城市に移築されている秋月藩江戸屋敷の門。芝新堀の表門だろうか。明治29年(1896)以降は黒田侯爵邸で使用され、「溜池の黒門」として知られていたようだ。現在はスーパー銭湯丘の湯)の敷地外郭にあり、中に入らないと正面は見えないが、食事処から眺められる場所に位置し、「黒田門」として歴史的価値を入湯者に紹介してくれている。

 

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門の内側。秋月藩士の日記には、この屋敷内で樅の木に雀が集まり話題になったことが書き留められている。「頃日、数千羽集まり候由、暮に相成り候得ば見物これ有り、有馬様御家中にも評判これ有り候、御吉瑞之御発にやと評判」(「木付日記」)。何気ない日常を記す先人たちの日記は、過ぎ去った時代を目の前で見ているかのような気にさせてくれる。(2017年4月撮影)