筑前黒田武士の江戸日記

~毎月第1土曜日更新~

vol.59 同族

島崎藤村の『夜明け前』に、主人公の青山半蔵が同族の青山寿平次と横須賀の公郷村を訪ね、三浦一族の末裔という山上家の歓待を受けるくだりがある。成り行きは、寿平次が営む妻籠の本陣に泊まった山上を名乗る客が、自分の家と同じ家紋に気付いて青山家の出…

vol.58 幻の天守閣

東京国立博物館のミュージアムシアター「熊本城」を見てきた。CGで再現された熊本城をナビゲーターの女性がツアーガイドのように案内してくれる。大きなスクリーンに展開される映像はかなりリアルで、人の目線で画像も動いていくので、実際に城内を歩いて進…

vol.57 朝倉の黒田武士

九州豪雨から1ヶ月。大きな被害を受けた朝倉市は、かつての秋月藩領、三奈木黒田家領であり、黒田武士ゆかりの地。秋月の武家屋敷や、三奈木黒田家の庭園の状況は気になるところであるが、比良松の遠戚も被災しており、まずは困難に直面されている方たちの…

vol.56 肥後と筑前

細川家の幕末維新史料集として知られる『肥後藩国事史料』が、国立国会図書館のホームページ(「デジタルコレクション」)で閲覧できるようになっていた。昭和初年刊行の古い本なので、近所の大学図書館で読むときは扱いに気を遣ったものだが、自宅のパソコ…

vol.55 無人島長平

仕事帰り、図書館の古文書講座に通いはじめた。先月の教材に登場したのが「無人島長平」。なんと江戸時代に実在した日本版ロビンソン・クルーソーだ。嵐で船が壊れ、流されるままに命からがら辿り着いたのは、本州から500キロも離れた絶海の孤島(鳥島)。12…

vol.54 遠州の黒田屋敷

先日、静岡県菊川市の旧家を訪ねた。屋敷のあるじは黒田氏。と言っても、旗本領の代官である。当地の豪農とあって、重厚な長屋門を構え、周囲に堀を巡らした立派なお屋敷だが、もとは清和源氏の流れをくむとされる武家の家筋。家紋は藤巴なので、筑前の黒田…

vol.53 武士飯

NHKのBSプレミアム「幕末グルメ ブシメシ!」。単身赴任の江戸勤番藩士にスポットを当てたところが、時代劇としては何か新鮮で毎週見ていたが、先日、原作漫画(『勤番グルメ ブシメシ!』)も買って読んでみた。勤番侍の日常や食生活が知れて興味深いストー…

vol.52 矢野六太夫

昨年の福岡旅行の折に見つけた「五龍日記」が興味深い。著者は福岡藩の儒者であった柴田風山(但し諸説あり)。藩政批判をして流罪となった人物である。6年ほど前に宮若市古文書勉強会の方たちが翻刻されていたのだが、福岡市総合図書館の郷土特別資料室で…

vol.51 これぞまことの黒田武士

私の祖父は晩年、家系について熱心に調べていたが、親戚筋と情報交換していた書簡などを整理していたところ、母里太兵衛友信の末裔との関係を示す記述を見つけた。養子だった高祖父の実家の姉が、当代母里太兵衛の後妻になっていたようである。我が家には母…

vol.50 金子堅太郎

ブログをはじめて5度目の新年を迎えた。今年も三箇日を過ぎたら4日から仕事。短いパターンの正月休みは終わってしまったが、かつての黒田武士は、どのような正月を過ごしていたのだろうか。『金子堅太郎自叙伝』(日本大学精神文化研究所研究叢書)で、明…

vol.49 平尾山荘

【所在地】福岡市中央区平尾5-2-28 【関連サイト】https://dayori.city.fukuoka.lg.jp/43160 http://bunkazai.city.fukuoka.lg.jp/cultural_properties/detail/item_id:101547 久しぶりに福岡へ。今年は野村望東尼の150年忌にあたる年。まず望東尼が晩年を…

vol.48 中老

仕事帰りの電車の中で、隣の人が読んでいる小説が何気なく視界に入ったのだが、「福岡藩」「中老」という記述に思わず目を見張った。福岡藩の中老と言えば、6千人規模の黒田家臣団のなかで最上級の家格。表紙が見えないので、本の題名がわからない。が、ペ…

vol.47 飯尾甚太夫

前回の豊州紀行の折り、富来城跡近くの「富来茶屋」というお店で昼食をとった。古民家の風情あるお座敷でいただいた定食は、お手頃な価格ながら多彩な盛り付けで、なかなか美味しい。テーブルには郷土史を紹介する手書きの資料が置いてあったが、その中に、…

vol.46 豊州紀行

夏休み、豊前・豊後の史跡を散策してきた。成田から大分までジェットスターで1時間45分。空港近くの国東市サイクリングターミナルで自転車を借りて、5キロほど離れた富来城跡まで、海沿いの自転車専用道でサイクリングを楽しみ、国東にて1泊。翌日は、杵…

vol.45 飯田丸

熊本地震から3ヵ月。被災した熊本城の飯田丸五階櫓で、先日ようやく補強工事が開始された。崩れず残った1本の石垣に支えられるその姿は、いささか痛ましい。大天守・小天守の周りで、宇土櫓とともに天守規模の櫓がそびえる様は、熊本城ならではの見応えあ…

vol.44 三匹、筑前に現る

新聞のテレビ欄に昔懐かしい「三匹が斬る!」(再放送)。高橋英樹、役所広司、春風亭小朝が演じる浪人3人が、諸国を旅しながら悪党を退治する時代劇だ。続々編の初回スペシャル版ということで、早めに帰宅して見てみたのだが、舞台は思いもかけず福岡藩。…

vol.43 殿、利息でござる

映画「殿、利息でござる!」を見てきた。コメディ路線かと思いきや、意外に真面目なヒューマンドラマだ。重税を課す藩に対し、有志が一致団結して金を出し合い、藩に貸し付けて利息で取り返し、領民に分配するという実話に基づくストーリー。消費増税は延期…

vol.42 栗山大膳

先週の日経新聞「文学周遊」(土曜夕刊に連載)は、森鴎外の短編小説「栗山大膳」。主君黒田忠之を諌めるために幕府に訴えるという究極の手段に出た栗山大膳について、「時に苦言を呈しながらも、善政に導く理想的な部下を描いているように思える」としたう…

vol.41 真田丸

大河ドラマで脚光を浴びている真田家。黒田家と何かご縁はあろうかと、『黒田家譜』の索引で「真田」を探してみると、文化5年(1808)の記述に興味を引く名前を見つけた。朝鮮通信使の応接のため対馬に派遣された幕臣の記載のなかに、「寺社奉行支配調役 真…

vol.40 町奉行

休みの日の夕方、ふとテレビをつけると風間杜夫主演「銭形平次」の再放送。これは懐かしい。少年の頃に見ていた時代劇のひとつで、主題歌も気に入っていた。最近ではすっかり減ってしまったが、人情味あふれる時代劇はいいなと改めて思いながら、見ていた頃…

vol.39 太政官札贋造事件

日本銀行の広報誌『にちぎん』(No.44 2015年冬号)に、太政官札贋造事件の記述を見つけた。「お金の源―素材の歴史と作り方」と題したコーナーで少し触れられている程度ではあるが、意外なところに福岡藩の名を見つけると、何か嬉しくなる。 福岡藩が廃藩に…

vol.38 蹴鞠

今年はアビスパ福岡が5年ぶりにJ1リーグに復帰する。福岡のチームで親しみはあり、博多の森に試合を観に行ったこともある。昨年のJ2リーグ最終節、プレーオフ決勝はテレビで観戦。1部リーグ昇格が決まった瞬間は、やはり嬉しい気持ちになった。テレビ中…

vol.37 藩物語

書店の歴史コーナーに並ぶ「〇〇藩」と題したシリーズ本。今夏、ようやく福岡藩にもお鉢が回ってきた。『シリーズ藩物語 福岡藩』(現代書館)である。このシリーズは2004年の長岡藩を皮切りに順次諸藩の刊行が続いているが、福岡藩はまだかと待ち遠しいよう…

vol.36 丸亀城

【所在地】香川県丸亀市一番丁 【関連サイト】http://www.city.marugame.kagawa.jp/sightseeing/spot/marugamejo/index.html 先月、丸亀城を訪れた。丸亀藩京極家の居城であるが、8代福岡藩主黒田治高の生誕地でもある。治高の実家は支藩の多度津藩だが、当…

vol.35 英雄リストに見つけた黒田武士

特別展示「会津は英雄か、反逆者か」に興味を持ち、明治大学博物館をのぞいてみた。展示品の中に「古今英雄三幅対」という版画。冒頭に松平容保、三条実美、西郷従道の錦絵が配され、幕末明治の「英雄」120名が列挙されているが、福岡藩関係者も4名選出さ…

vol.34 晋作、伊之助、筑前に来たる

大河ドラマ「花燃ゆ」で、筑前が舞台に。野村望東尼のもとに身を寄せる高杉晋作、太宰府の五卿に拝謁する小田村伊之助。1シーンではあったが、最後の「花燃ゆ紀行」では平尾山荘、延寿王院も紹介され、嬉しくなった。先週は、高杉に落とされる小倉城の見立て…

vol.33 長州と筑前

久しぶりに萩を訪れた。武家屋敷街の風情を色濃く残す萩城下は、自分の好きな町並みのひとつであるが、偶然にも旅行前夜、城下町が世界遺産に認定されていた。今年の大河ドラマ「花燃ゆ」の舞台でもあり、まさに旬なタイミングだ。 レンタサイクルを借りて、…

vol.32 薩摩と筑前

以前に書いたブログで、先日コメントをいただいた(vol.02 小説のなかの黒田武士)。東京在住の私にとって、福岡藩関係の情報をいただけることは大変有難い。篤姫付の年寄幾島の出自に関するご意見だが、黒田長溥の実家である薩摩藩との関係で、福岡藩の歴史…

vol.31 福岡藩士の甲冑展

「甲冑に見る江戸時代展~福岡藩士の兜と具足」と題した福岡市博物館の企画展に興味を持ち、格安航空での日帰り旅行を計画。その感想を記録しようと、第1土曜日から1週間後のブログ更新となったが、企画展最終日前日の駆け込み旅行は、都合により見送りと…

vol.30 豊後富来城の戦い

ちょうど1年前(5/3)になる「vol.18 黒田兵庫助」で、慶長5年(1600)の黒田如水による豊後富来城攻めに触れたが、籠城兵の夜討ちを受けたとされる「黒田兵庫」について、「兵庫助の孫の政一か」と補足を入れていた。如水の実弟黒田兵庫助利高は、事典等…