【所在地】 大阪府天王寺町茶臼山町天王寺公園内
【文化財指定】 大阪府有形文化財
【関連サイト】http://www.city.osaka.lg.jp/kensetsu/page/0000009770.html
福岡藩の大坂蔵屋敷長屋門は、天王寺公園に移築されて現存している。公園の外からも見られるが、写真撮影には柵がじゃまになるので、150円の入園料を払い園内から見学。取り払われてしまったのか門扉がないが、海鼠壁の長屋門は蔵のような独特な造り。蔵屋敷の門であることに納得感がある。
他に当時の面影を残すものはないが、地下鉄で2駅先の淀屋橋には、黒田長溥と親交があった緒方洪庵の適塾が残っている。塾生だった福沢諭吉によれば「黒田の殿様が江戸出府あるいは帰国のときに、大坂を通行する時分には、先生はきっと中ノ島の筑前屋敷に伺候してごきげんを伺うという常例であった」とのこと(『福翁自伝』)。蔵屋敷があった時代に思いを馳せてみるならば、こちらも併せて見学していくのがよいと思う。
大阪商業大学商業史博物館が同館所蔵の諸藩蔵屋敷関係史料を翻刻している(『蔵屋敷』全3巻)。このなかに大坂詰の福岡藩勘定奉行大岡克俊が書いた「浪速詰方日記」があり(第3巻)、なかなか興味深い。解説(第2巻)では福岡藩についての記述もあり、はるばる福岡から出張してきた蔵屋敷役人の仕事ぶりを想像する一助になりそうだ。
(2013年1月訪問)
来園者には門の裏側を見せるレイアウトに。もともとは公園の入口として使われていたのかもしれない。