筑前黒田武士の江戸日記

~隔月で第1土曜日に更新~

vol.22 秋月記

 日経新聞土曜夕刊に連載の「文学周遊」。先週のお題は葉室麟氏の『秋月記』だった。文学作品とその舞台を紹介するコーナーである。直木賞受賞作品となった『蜩ノ記』が映画化されるとあって、同氏の作品が改めて注目されているのかもしれないが、黒田家ゆかりの町である秋月のPRにもなりそうだ。

 秋月をはじめて訪れたのは少年時代の夏休み。祖父と九州へ旅行の折りに、父親の転勤で福岡に引っ越していた小学校の同級生と再会し、ふたりで秋月城址や秋月郷土館などを見て回った思い出がある。支藩であるから本藩の福岡と比べれば格段に小さな城下町で、むしろ山村のような雰囲気もあるが、そんなのどかさの中にも雅さや武士の気風のようなものも感じられて、魅力的なところである。

 一般公開がはじまった久野邸を見ようと、久しぶりに秋月を訪れたのは4年前。その後、田代邸も修復工事を終えて公開されており、見に行きたいと思っている。武家屋敷の保存整備が進んだ城下町秋月。秋月藩を舞台にした葉室小説でも読んで再訪してみるのもよいかもしれない