筑前黒田武士の江戸日記

~隔月で第1土曜日に更新~

vol.60 ブログ満5年

 かつての武士たちの回顧談を収録した『幕末の武家』(柴田宵曲編)を読んでいたら、語り手に見覚えのある名が出てきた。江原素六。4年前に、ブログで書いていることを思い出した(「vol.07 船橋戊辰戦争遺跡」)。戊辰戦争で官軍福岡藩の小室弥四郎に組み伏せられた旧幕府軍将校。「敵に組み付きました。ところが敵の方が私より余程強い」と、当時の状況を振り返っている。

 駆けつけた幕兵に斬りつけられた弥四郎は、「自殺しようとしましたが、もう自殺する力がないので、気の毒ゆえ古川(古川宣誉)が介錯してやりました」とのことだが、「敵ながら立派な武士です。船橋に墓がありますゆえ、先年古川と二人で墓参をしました」ともあった。ひとりの黒田武士の壮絶な最期。福岡藩の史料では得られない、貴重な証言であるような気がした。

 さて、今更ながらだが、前回のブログ更新が9月の最終土曜日だったことに気付いた。1週間のフライング。29日の金曜日で半期の最終営業日を終え、仕事が一段落したことで、翌30日の土曜日は新しい月を迎えた気分になっていたようだ。このブログも今回で60回目。満5年となるが、今後は十分な準備期間をとるべく隔月とすることにした(奇数月の第1土曜日に更新)。次回は新年1月。引続き小さな発見を少しずつでも記録していこうと思う。