筑前黒田武士の江戸日記

~隔月で第1土曜日に更新~

vol.11 福岡城

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【所在地】 福岡県福岡市中央区城内
【関連サイト】http://fukuokajyo.com/ 

 

 福岡城の南丸多聞櫓が期間限定で内部公開されていることを知って、公開最終日に急遽福岡へ行くことにした。嘉永7年(1854)の建替事業に先祖が関わっていたらしく、是非とも見てみたい衝動にかられた。

 この日はちょうど「明治維新と黒田藩」という、何とも興味をそそられる講演(福岡城市民の会主催)もあって、非常に楽しみにしながら2年ぶりに福岡にやって来たのだが、なんと「台風接近のため」との理由で、講演、多聞櫓公開とも中止。これは痛恨の極み。台風は温帯低気圧に変わって、風もなく雨も止んでいたのは皮肉だが、時間ができた分、久しぶりの福岡城内散策をゆっくりと堪能することができた。

 下之橋御門のそばに立つと、石垣に囲まれて景観を損ねるものがなく、タイムスリップしたような感覚になり、ありし日の黒田武士の登城風景が目に浮かぶ。地元では天守閣の建造を望む声もあるらしいが、想像の建物を城址に取り込むことには、個人的には抵抗感がある。むしろ崇福寺に移築された花見櫓・月見櫓(潮見櫓説が有力らしい)・本丸表門が元の位置に戻ってくれると、往時の「舞鶴城」が蘇るようで嬉しいのだが。

(2013年8月訪問)

 

f:id:kan-emon1575:20130831112138j:plain県指定有形文化財の下之橋御門。はじめて祖父に連れてきてもらった頃は、門の部分だけしかなかったが、現在では渡り櫓が復元されていて、より城郭らしくなった。

 

f:id:kan-emon1575:20130831103724j:plain国指定重要文化財の南丸多聞櫓。伝潮見櫓(最上部の写真/県指定有形文化財)や祈念櫓(市指定有形文化財)とともに「舞鶴城」の別称を持つ美麗な城の面影を伝えている。