筑前黒田武士の江戸日記

~隔月で第1土曜日に更新~

2017-01-01から1年間の記事一覧

vol.60 ブログ満5年

かつての武士たちの回顧談を収録した『幕末の武家』(柴田宵曲編)を読んでいたら、語り手に見覚えのある名が出てきた。江原素六。4年前に、ブログで書いていることを思い出した(「vol.07 船橋戊辰戦争遺跡」)。戊辰戦争で官軍福岡藩の小室弥四郎に組み伏…

vol.59 同族

島崎藤村の『夜明け前』に、主人公の青山半蔵が同族の青山寿平次と横須賀の公郷村を訪ね、三浦一族の末裔という山上家の歓待を受けるくだりがある。成り行きは、寿平次が営む妻籠の本陣に泊まった山上を名乗る客が、自分の家と同じ家紋に気付いて青山家の出…

vol.58 幻の天守閣

東京国立博物館のミュージアムシアター「熊本城」を見てきた。CGで再現された熊本城をナビゲーターの女性がツアーガイドのように案内してくれる。大きなスクリーンに展開される映像はかなりリアルで、人の目線で画像も動いていくので、実際に城内を歩いて進…

vol.57 朝倉の黒田武士

九州豪雨から1ヶ月。大きな被害を受けた朝倉市は、かつての秋月藩領、三奈木黒田家領であり、黒田武士ゆかりの地。秋月の武家屋敷や、三奈木黒田家の庭園の状況は気になるところであるが、比良松の遠戚も被災しており、まずは困難に直面されている方たちの…

vol.56 肥後と筑前

細川家の幕末維新史料集として知られる『肥後藩国事史料』が、国立国会図書館のホームページ(「デジタルコレクション」)で閲覧できるようになっていた。昭和初年刊行の古い本なので、近所の大学図書館で読むときは扱いに気を遣ったものだが、自宅のパソコ…

vol.55 無人島長平

仕事帰り、図書館の古文書講座に通いはじめた。先月の教材に登場したのが「無人島長平」。なんと江戸時代に実在した日本版ロビンソン・クルーソーだ。嵐で船が壊れ、流されるままに命からがら辿り着いたのは、本州から500キロも離れた絶海の孤島(鳥島)。12…

vol.54 遠州の黒田屋敷

先日、静岡県菊川市の旧家を訪ねた。屋敷のあるじは黒田氏。と言っても、旗本領の代官である。当地の豪農とあって、重厚な長屋門を構え、周囲に堀を巡らした立派なお屋敷だが、もとは清和源氏の流れをくむとされる武家の家筋。家紋は藤巴なので、筑前の黒田…

vol.53 武士飯

NHKのBSプレミアム「幕末グルメ ブシメシ!」。単身赴任の江戸勤番藩士にスポットを当てたところが、時代劇としては何か新鮮で毎週見ていたが、先日、原作漫画(『勤番グルメ ブシメシ!』)も買って読んでみた。勤番侍の日常や食生活が知れて興味深いストー…

vol.52 矢野六太夫

昨年の福岡旅行の折に見つけた「五龍日記」がなかなか興味深い。著者は福岡藩の儒者であった柴田風山(但し諸説あり)。藩政批判をして流罪となった人物である。6年ほど前に宮若市古文書勉強会の方たちが翻刻されていたのだが、福岡市総合図書館の郷土特別…

vol.51 これぞまことの黒田武士

私の祖父は晩年、家系について熱心に調べていたが、親戚筋と情報交換していた当時の書簡などを整理していたところ、母里太兵衛友信の末裔との関係を示す記述を見つけた。養子だった高祖父の実家の姉が、当代母里太兵衛の後妻になっていたようである。我が家…

vol.50 金子堅太郎

ブログをはじめて5度目の新年を迎えた。今年も三箇日を過ぎたら4日から仕事。短いパターンの正月休みは終わってしまったが、かつての黒田武士は、どのような正月を過ごしていたのだろうか。『金子堅太郎自叙伝』(日本大学精神文化研究所研究叢書)で、明…