筑前黒田武士の江戸日記

~奇数月の第1土曜日に更新~

vol.34 晋作、伊之助、筑前に来たる

 大河ドラマ「花燃ゆ」で、筑前が舞台に。野村望東尼のもとに身を寄せる高杉晋作太宰府の五卿に拝謁する小田村伊之助。1シーンではあったが、最後の「花燃ゆ紀行」では平尾山荘延寿王院も紹介され、嬉しくなった。先週は、高杉に落とされる小倉城の見立てで、なんと福岡城の大手門や伝潮見櫓が登場したが、CGの炎に包まれ、こちらは少し複雑な気分も。

 欲を出せば、黒田武士の出番がほしかった。堀和久さんの小説『中岡慎太郎』では、長州滞在の中岡らと交流を持つ福岡藩勤王派の面々が、それなりの役回りをもって描かれている。福岡県出身の堀さんの贔屓目もあるかもしれないが、この時期の福岡藩は、ある程度の存在感は示していたように思う。

 幕末明治の長州藩正史ともいうべき『防長回天史』では、文久の政変で長州藩が京を追われたことに関して、「諸侯の間、議論なきにあらず」として、世子黒田慶賛、家老黒田山城が長州のフォローに尽力した旨の記述が続く。小郡で行われた両藩世子・重臣の会談についても、「議論頗る激すも終に相融和し、互に将来の懇親を約して別る」と記録されている。

 福岡藩による長州周旋は、長州藩にとっても記憶されるべき事実と考えられたのではないだろうか。「花燃ゆ」でも脚本に織り込んでみれば、小説やドラマで取り上げられることが少ない分、目新しさも出ただろうし、前作(「軍師官兵衛」)つながりという意味でも面白かったのではないかと思うのだが。